ClaudeCodeで置き換えられる作業と、置き換えられない作業

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  • 導入準備
  • 業務効率化

前回のそもそもClaudeCodeとは何かで、ClaudeCodeはパソコンの中のファイルを読み、書き換え、操作までするAIだと書きました。

では、自社のどの作業を任せられるのか。ここからが本題です。

この記事では、目の前の作業を仕分けるための3つの問いをご紹介します。以降のシリーズ記事(Excel、PDF、定時実行、マニュアル)は、すべてこの3つを土台にします。

よくある「AIにできないこと」は、判断に使えません

先に、遠回りを1つ減らしておきます。

「生成AI できないこと」で調べると、だいたい同じ答えが並びます。

  • 感情や倫理を理解できない
  • ゼロから新しいものを生み出せない
  • 身体を使う作業ができない
  • 事実と違うことを、もっともらしく書くことがある

どれも正しい指摘です。ただ、自社の作業を仕分ける役には立ちません。

「うちの月次の請求書作成は、感情を理解する必要があるだろうか」と考えても、答えは出ません。抽象度が高すぎるのです。

必要なのは、目の前の作業を1つずつ当てはめられる、もっと手前の問いです。

線は、3つの問いで引けます

ClaudeCodeに限って言えば、判断はかなり単純になります。次の3つを順番に聞いてください。

# 問い Noだった場合
1 その作業は、ファイルになっていますか そもそも対象外
2 その手順を、人に説明できますか 説明できるようにするのが先
3 出てきたものの間違いに気づけますか 任せると危ない

3つともYesなら、置き換えられます。1つでもNoなら、Noの中身によって次の一手が変わります。

順に見ていきます。

問い1:その作業は、ファイルになっていますか

ClaudeCodeが扱えるのは、ファイルと、パソコン上で実行できる処理です。これは公式ドキュメントに書かれている、この道具の性質そのものです。

裏を返せば、ファイルになっていないものは、最初から対象外です。

対象になるもの

  • Excelの表、CSVのデータ
  • Word・テキスト・PDFの書類
  • 写真やスキャンした画像
  • フォルダに溜まっている過去の資料

形式はさまざまですが、共通しているのは「パソコンの中にある」ことです。

対象にならないもの

  • 紙の伝票を、手で書いて綴じている
  • 電話で受けた内容を、口頭で引き継いでいる
  • ベテランの頭の中にしかない情報
  • 現場での目視確認、来客対応、荷物の運搬

これらは、ClaudeCodeが読むものがありません。性能の問題ではなく、そもそも届く範囲の外です。

ここで多い勘違い

「うちはまだ紙が多いので、AIは無理ですね」

そう結論づけてしまう会社があります。ただ、全部が紙という会社は、実際にはほとんどありません。

請求書は会計ソフトで作っている。見積書はExcelで作っている。案内文はWordで書いている。この時点で、対象になる作業はすでに存在しています。

全社的に無理かどうかではなく、作業単位で見てください。 1つでもファイルで回っている作業があれば、そこが入口になります。

問い2:その手順を、人に説明できますか

2つ目は、ここです。

ClaudeCodeは、**書かれていないことを判断できません。**逆に言えば、書いてあればそのとおりに動きます。

だから、新しく入った社員に口頭で説明できる作業なら、たいてい任せられます。説明できない作業は、任せられません。

説明できる作業の例

  • 毎月、決まったフォルダの数字を集めて、決まった様式に転記する
  • 過去の見積書を参考に、新しい見積書のたたき台を作る
  • 複数のファイルを突き合わせて、食い違っている箇所を洗い出す

いずれも「どのファイルを見て、何をして、どこに出すか」が言葉になります。

説明できない作業の例

  • 「なんとなく、いつもこうしている」
  • 「その時の状況による」
  • 「長くやっているから分かる」としか言えないもの

こうした作業は、まず言葉にするところからです。

説明できないまま頼むと、どうなるか

ここが、この記事でいちばんお伝えしたい部分です。

説明できない作業は、たいてい抽象度が高く、判断の中身が個人の主観によっているものです。だから頼み方も「いい感じにまとめておいて」「うちのやり方で」といった形になります。

このとき、**ClaudeCodeは「できません」とは言いません。**何かしらの答えを返してきます。ここが厄介なところです。

そして返ってきたものは、自分が想定していたものから大きく外れている可能性が高いです。まったくの的外れではないけれど、そのままは使えない。たいてい、そういう出方をします。

本来であれば、そこから会話を続ければよいのです。「そこは違う」「この場合はこうしてほしい」とやり取りを重ねていけば、だんだん近づいていきます。壁打ちのようなものです。

ただ、**そこまでやる人は、あまりいません。**一度か二度試して「思ったほどではないな」と判断し、そこで終わってしまいます。

だから、問い2のNoは気づかれません

ここまでを踏まえると、問い2で引っかかったときに何が起きるかが分かります。

「動かない」という形では現れません。「なんとなく違うものが出てきて、そのうち使わなくなる」という形で現れます。エラーも出ませんし、誰も困ったと言いません。ただ、静かに使われなくなります。

社員にAIを配っても、使われない理由で「使われないのはやる気の問題ではない」と書きましたが、その原因のひとつがこれです。道具が悪いわけでも、社員が悪いわけでもありません。渡した指示が、そもそも判断できる形になっていなかったということです。

逆に言えば、**手順を書き出す作業でつまずいたときは、悪い知らせではありません。**そこが見えたこと自体が成果です。そこは、担当者が辞めたときに止まる場所でもあります。

言語化については、構築仕様書は、秘伝のたれですで詳しく書きました。

問い3:出てきたものの間違いに、気づけますか

3つ目は、安全のための問いです。

ClaudeCodeが出したものが正しいかどうか、受け取った人が判断できるかどうかを考えてください。

判断できないまま使うのが、いちばん危ない状態です。

気づける作業

  • 自社の見積書 → 単価表と突き合わせれば分かる
  • 議事録の要点 → 会議に出ていた人なら分かる
  • 社内文書の誤字脱字 → 読めば分かる

気づきにくい作業

  • 法令の条文番号、判例番号
  • 専門的な計算や、統計の解釈
  • 自社に前例のない、初めての種類の判断

生成AIは、もっともらしく間違えることがあります。それらしい条文番号を書いてくるかもしれません。知らない領域だと、間違いに気づけません。

「気づける仕組み」を作れば、Yesにできます

ここは、工夫でYesに変えられる場合があります。

  • 出力を、必ず単価表や原典と突き合わせる手順を入れる
  • 数値と固有名詞だけは、人が必ず目視する
  • そのまま社外に出さず、確認を通す運用にする

つまり、**「気づける人がいるか」ではなく「気づける手順があるか」**で考えてください。

3つともYesなら、置き換えられます

具体的には、こうした作業が当てはまります。

作業 なぜ当てはまるか
決まった様式の書類を作る ファイルがあり、手順が説明でき、見れば分かる
複数ファイルの突き合わせ 元データがあり、照合のルールが明確
大量の資料から条件に合うものを抜き出す 抽出条件を言葉にできる
表記ゆれの統一、書式の整え 正解の形が決まっている
過去の議事録から宿題を拾い出す 元の記録があり、拾う基準を決められる
業務手順書の整備と更新 元になる情報があり、内容の正誤が分かる

派手さはないと思います。ただ、こうした作業が業務時間のかなりの部分を占めている会社は少なくありません。

1つでもNoなら、打ち手が変わります

大事なのはここです。Noだから諦める、ではありません。Noの中身によって、次の一手が違います。

Noだった問い 次にやること
1. ファイルになっていない まず、その業務をファイルの形にする。AIの導入はその後
2. 手順を説明できない 手順と判断基準を書き出す。これ自体が属人化を解く作業になる
3. 間違いに気づけない 確認の手順を先に決める。それが無理なら、その作業は任せない

見ていただくと分かるとおり、**1と2は「まだ早い」であって「向いていない」ではありません。**順番の問題です。

3だけは性質が違います。確認の手順を作れない作業は、作らないほうがよいという判断になります。

置き換えではなく、下ごしらえに使う手もあります

最後に、この記事のタイトルを自分で崩すようなことを書きます。

「置き換える/置き換えない」の二択で考えると、使える範囲が狭くなります。

実務でいちばん効くのは、その中間です。8割をClaudeCodeにやらせて、残りの2割を人が仕上げる。この形なら、問い2や問い3が完全にはYesでない作業でも扱えます。

  • たたき台を作らせて、判断が要る部分だけ人が直す
  • 候補を10件挙げさせて、選ぶのは人がやる
  • 下書きを書かせて、社外に出す表現だけ人が整える

ゼロから作る時間と、出てきたものを直す時間は、まったく違います。 白紙から書き始めるのがいちばん時間のかかる作業だ、というのは、多くの方が実感されているのではないでしょうか。

そして、この使い方には副産物があります。**直した箇所が、そのまま「まだ言葉になっていなかった判断基準」の一覧になります。**それを書き足していけば、次からは直す量が減ります。問い2のNoが、使いながらYesに変わっていくということです。

まとめ

  1. 「AIにできないこと」の一般論は、自社の作業の仕分けには使えない
  2. 使えるのは3つの問い。ファイルになっているか/手順を説明できるか/間違いに気づけるか
  3. Noでも諦めない。1と2は順番の問題で、3だけが「任せない」判断になる

3つのうち、いちばん扱いが難しいのは2番目です。動かないなら分かりやすいのですが、それらしいものが返ってきてしまうぶん、原因が見えないまま使われなくなります。そして2番目は、AIの話である前に、社内の業務が言葉になっているかという話です。

Black Bullの導入支援では、この言語化を「ClaudeCode構築仕様書」という形にまとめ、御社に残しています。どの作業が当てはまるのか一緒に見てほしい、という段階でのご相談で構いません。お気軽にお声がけください。

次回は、この3つの問いをExcelの集計と突き合わせに当てはめて、具体的に見ていきます。