「他のAIコンサルと何が違うのか」への答え
「他のAIコンサルと何が違うんですか」。よくいただく質問です。
正直に申し上げると、AIの知識そのもので大きな差がつくとは思っていません。製品の仕様は公開されていますし、使い方の情報も出回っています。
差が出るとすれば、そこではありません。AIを業務に落とし込む部分です。 そして私たちの場合、その考え方はメーカーの設計・開発の現場で身につけたものです。
ここでは、代表の秋吉が前職で何をやっていたのかを書きます。宣伝というより、判断材料としてお読みいただければと思います。
メーカーで「プロセス設計」と呼ばれていた仕事
代表の秋吉裕和は、富士重工業(SUBARU)、ヤマハ発動機、本田技研工業の3社で設計・開発の現場に携わってきました。技術士の資格を持っています。
具体的には、次のような仕事です。
- ある部品のコストを下げるために、工程や製法を新しく開発する
- ある部品の生産数が増えるとき、工場に新しいラインを引く。そのための設備開発とライン構築
時間を使っていたのは、実験と、その結果をまとめること、そして他部署との調整でした。
図面を引いて製品の形を決める仕事とは、少し違います。決めていたのは、それをどう作るかのほうです。
作っていたのは、製品ではなく作り方でした
新しい工程や製法を開発したら、それで終わりではありません。実際の生産現場が、同じものを同じ品質で作れる状態にする必要があります。
そのために整備するのが、工程表と作業標準書です。どの順番で、どの条件で、何をするか。それを書き出して、現場が見れば再現できる形にします。
ここが、この仕事の本体です。開発した本人にしかできない状態のままでは、量産はできません。人が変わっても同じものが出てくる状態にして、はじめて仕事が終わります。
言い方を変えると、作っていたのは製品ではなく、作り方のほうでした。
言葉にできないものは、見本で渡す
ただし、書類にすべてが書けるわけではありません。
たとえば表面の仕上がり具合や、わずかな色の違い。数値で書ける部分もありますが、「これは良品、これは不良」の境目までは、文章にしきれないことがあります。
そういうとき、製造現場では限度見本というものを使います。実物を置いておくのです。「ここまでは良品」という現物を現場に置き、作業者が手元のものと見比べて判断できるようにします。
言葉にできないものを、あきらめて口伝にするのでもなく、無理に文章へ押し込むのでもなく、**比べられる形で渡す。**これが製造現場の答えです。
この考え方は、そのままAIの話になります。
社内の判断基準をすべて文章にしようとすると、どこかで必ず行き詰まります。「うちの見積書の書き方」「うちの案内文のトーン」。いざ説明しようとすると、難しいものです。
そこで、過去の実物を渡します。**出来のよかった見積書、うまくいった案内文。それを参照させれば、文章で説明しきれない部分が伝わります。**限度見本と同じ考え方です。
「気をつける」で終わらせない
もう1つ、製造業から持ち込んでいる発想があります。安全対策の考え方です。
製造現場の安全対策は、「作業者が気をつける」で終わりにしません。人は、注意していても、疲れていれば、急いでいれば間違えます。だから人による部分を減らし、仕組みの側で抑えにいきます。
もっとも、この差は意識の高低だけの話ではありません。大企業には資金があり、安全対策に時間もお金もかけられます。中小企業が同じ水準を求められても、現実には難しい面があります。
ただ、**だからこそ、発想のほうは持っておく価値があると考えています。**お金をかけずにできるのが、まさに「人の注意力に頼らない形にする」ことだからです。
AIの運用でも同じです。
「顧客情報を入れないよう、気をつけましょう」。これは人に頼る対策です。忙しければ抜けます。
一方、扱ってよい情報の範囲をファイルに書き、AIが作業のたびにそれを読む状態にしておけば、注意力に頼らずに済みます。**書いた紙を配って終わりにするのか、道具が毎回読む場所に置くのか。**違いはそこです。
それがClaudeCodeとどうつながるか
ここまで書いてきたことは、そのまま「ClaudeCode構築仕様書」の中身になっています。
| 製造現場 | 構築仕様書 |
|---|---|
| 工程表 | 業務の手順 |
| 作業標準書 | 判断基準 |
| 限度見本 | 参照させる過去の実物 |
| 人に頼らず仕組みで抑える | 道具が毎回読み込む形にする |
この対応関係は、後から当てはめたものではありません。やっていることが同じだからです。
新しいやり方を作り、現場が再現できる形にして、人が変わっても品質が落ちない状態にする。メーカーでやっていたのはそれで、いま業務でやっているのもそれです。相手が金属や樹脂ではなく、見積書や議事録に変わっただけです。
構築仕様書そのものについては、構築仕様書は、秘伝のたれですに書いています。
まとめ
- 前職でやっていたのは、製品ではなく「作り方」を設計し、現場が再現できる形にする仕事
- 言葉にできないものは、限度見本のように「比べられる実物」で渡す
- 人の注意力に頼らず、仕組みの側で抑える
AIに詳しい会社は、たくさんあります。ただ、それを業務に落とし込み、人が変わっても回る状態にする作業は、AIの知識とは別の技術だと考えています。
そこをどう設計すればよいか迷っている段階でも構いませんので、お気軽にご相談ください。