議事録をAIに任せる前に決めておくこと

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議事録は、AIに任せる業務の候補として真っ先に挙がります。毎週のように発生し、手間がかかり、しかも作るのが誰も嬉しくない仕事だからです。

ただ、ツールを入れれば解決するかというと、そうでもありません。決めておくことがいくつかあります。

ここでは、その順番を整理します。なお、**録音や個人情報の扱いについて、法令の解釈は書きません。**判断は顧問弁護士など専門家にご確認ください。

「AIで議事録」には、2つの作業が混ざっています

まず、ここを分けてください。混ざったままだと、ツール選びの話が空回りします。

作業 内容 得意なもの
1. 音声を文字にする 録音から文字起こしをする 専用の議事録ツール
2. 文字を議事録にする 要点を拾い、自社の形式に整える 自社のルールが要る

世の中の記事の多くは、1の話です。認識精度、対応している会議システム、料金の比較。もちろん大事です。

ただ、**導入後に「文字は起きるようになったが、議事録にはならない」という状態になる会社があります。**これは1と2を分けずに進めた結果です。

文字起こしは、しゃべった内容をそのまま文字にします。会議の雑談も、言い間違いも、脱線も含めて全部です。そこから「結局どうなったのか」を取り出す作業は、別物です。

決めること1:録音の同意

会議を録音するなら、参加者への事前の告知は避けて通れません。

決めておくのは、次の3つです。

  • いつ、どう伝えるか。 会議の冒頭で口頭か、招集メールに書いておくか
  • 社外の参加者がいる場合どうするか。 相手の会社にもルールがあります。こちらの都合だけでは決められません
  • 断られたらどうするか。 ここを決めていない会社が多い部分です

3つ目を先に決めておかないと、その場で気まずくなって、なんとなく録音してしまうということが起きます。「断られたら録音せず、人が手でメモを取る」と決めておけば、その場で迷いません。

決めること2:音声とテキストをどこに置くか

音声も文字起こしも、データとして残ります。どこに、どれくらい残るのかを確認してください。

  • 入力した内容が、AIの学習に使われる設定になっていないか
  • 音声とテキストが、どこに、いつまで保存されるか
  • 社内の誰が見られるか

1つ目については、AIに入れてよい情報を、どう決めるかに書いたとおり、**契約しているプランによって扱いが変わります。**個人向けの無料プランを業務で使っている場合は、まず設定の確認からです。

3つ目も見落とされがちです。人事の相談や、特定の社員の評価に関わる話が出た会議の記録が、社内の誰でも見られる場所に置かれていないか。文字起こしが自動で共有フォルダに保存される仕組みだと、こうなりやすくなります。

議事録の質を決めるのは、書式ではなく「何を拾うか」

ここが、2つ目の作業の本体です。

議事録に必要なのは、会話の再現ではありません。あとから見て使えることです。最低限、次の4つが拾えていれば成立します。

拾うもの
決定事項 「A案で進める」
宿題 「見積を取り直す」
担当と期限 「営業部・今週金曜まで」
保留 「価格は次回に持ち越し」

問題は、「決定」の定義が会社によって違うことです。

その場で全員が納得すれば決定なのか。持ち帰って役員の承認を得てはじめて決定なのか。会議の中で「じゃあそれで」と言われたものは決定に入るのか。

ここが曖昧だと、AIが作った議事録の「決定事項」欄が、実態と合わなくなります。あとから「決まっていたはずだ」「いや保留だった」というやり取りが起きます。

つまり、必要なのは書式のひな形ではなく、判断基準です。「役員の承認が要るものは、承認が下りるまで保留に入れる」といったことを書いておけば、毎回同じ基準で整理されます。

この考え方は構築仕様書は、秘伝のたれですに書いたとおりです。議事録の場合、たれにあたるのは「何をもって決定とするか」の定義です。

AIに決めさせないもの

一方で、AIに任せてはいけないものもあります。

  • 決定事項の確定。 たたき台までです。確定は人が判断します
  • 担当者と期限。 会議で明言されていないものを、AIが推測で埋めてしまうことがあります
  • 社外に出す表現。 議事録をそのまま顧客や取引先に送る場合、必ず人が目を通します

とくに2つ目は注意が必要です。「たぶんこの人が担当だろう」という補完は、AIが自然にやってしまいます。発言に無かったものは空欄のままにする、というルールを先に決めておくほうが安全です。

専用ツールを買うべきか、ClaudeCodeで回すか

最後に、正直なところを書いておきます。

**会議の数が多く、リアルタイムで文字起こしが必要なら、専用の議事録ツールを使うほうが早いです。**録音から文字起こしまでを一気にやる部分は、専用ツールのほうが手間がかかりません。無理にClaudeCodeで組む理由はありません。

ClaudeCodeが向いているのは、2つ目の作業のほうです。

  • 文字起こし済みのテキストから、自社の形式に整える
  • 「何をもって決定とするか」の基準を反映させる
  • 過去の議事録から、宿題の積み残しを拾い出す
  • 決まった相手に、決まった形式で共有する文面を作る

つまり、**併用が現実的です。**文字起こしは専用ツール、そこから先は自社のルールに沿って処理する。この形であれば、どちらの強みも使えます。

逆に、会議が月に数回で、録音するほどでもないという会社であれば、いま急いで仕組みを作る必要はありません。メモをテキストで残しておき、それを整える段階から始めれば十分です。

まとめ

  1. 「音声を文字にする」と「文字を議事録にする」は別の作業。分けて考える
  2. 録音の同意、データの置き場所、閲覧できる人は先に決める
  3. 議事録の質を決めるのは書式ではなく、「何をもって決定とするか」の定義

3つ目は、議事録に限った話ではありません。社内の判断基準を言葉にする作業そのものです。

Black Bullの導入支援では、こうした判断基準を「ClaudeCode構築仕様書」という形にまとめ、御社に残しています。まず何から手をつけるか迷っている段階でも構いませんので、お気軽にご相談ください。