見積書づくりをClaudeCodeに任せるまでの手順

  • ClaudeCode
  • 業務効率化
  • 属人化の解消

見積書は、ClaudeCodeに任せる最初の1件として選ばれやすい業務です。毎月のように発生し、書き方にルールがあり、それなりに時間がかかるためです。

ただ、ツールを用意すれば明日から自動で出てくる、というものではありません。準備には順番があります。ここでは、その順番を6つに分けて整理します。

なぜ見積書が「最初の1件」に向いているのか

社員にAIを配っても、使われない理由で、最初に任せる業務を選ぶ基準を3つ挙げました。見積書は、その3つに当てはまります。

  • 毎週または毎月、繰り返し発生する
  • 手順がある程度決まっていて、人に口頭で説明できる
  • 失敗しても、すぐに気づけて取り返しがつく

3つ目について補足します。見積書は社外に出る書類ですが、出す前に必ず人が目を通す運用にできます。間違いがあっても、外に出る前に止められます。ここが、自動で送信されてしまう仕組みとの違いです。

手順1:過去の見積書を1か所に集める

最初にやることは、AIの設定ではありません。ファイルを集めることです。

過去の見積書が、担当者ごとのフォルダ、共有サーバー、メールの添付、紙の控えに散らばっている会社は少なくありません。この状態では、ClaudeCodeも過去の事例を参照できません。人が探せないものは、AIにも探せません。

まずフォルダを1つ決めて、そこに集めます。完璧でなくて構いません。直近1年分、よく出る取引先の分から始めれば十分です。

手順2:ひな形を1つに決める

次に、使うひな形を1つに絞ります。

長く続いている会社ほど、少しずつ違うフォーマットが並走しています。項目の並び順が違う、消費税の表示が違う、備考欄の書き方が人によって違う。この状態のまま任せると、出てくるものも揺れます。

「今後はこれが正」と決めた1枚を用意します。迷うようであれば、直近でいちばんよく使われているものを選べば十分です。

手順3:値付けのルールを書き出す

ここが本番です。そして、いちばん時間がかかります。

見積書のむずかしさは、書式ではなく金額にあります。そして金額の決まり方は、多くの場合ベテランの頭の中にあります。それを文章にします。

書き出すのは、最低限このあたりです。

決めること 書き方の例
標準の単価 品目ごとの基準額。改定日も添える
値引きの範囲 何%まで、どういう条件のときに
例外の取引先 この取引先は別単価、この取引先は値引き不可
端数の扱い 切り上げか切り捨てか、どの桁で
見積の有効期限 何日間とするか

この作業は面倒です。ただ、**面倒なのはAIのせいではありません。**もともと社内に無かったものを、いま作っているだけです。担当者が辞めたときに困るのも、理由は同じです。

ここを飛ばすと、出てくるのは「体裁は整っているが、金額が信用できない見積書」になります。

手順4:確認の手順を決める

作ったものを、誰がどこまで確認するか。これも先に決めます。

  • 金額と数量は必ず突き合わせる
  • 取引先名と宛名は必ず目視する
  • 値引きが入っている場合は、上長が見る

前の記事でも書きましたが、間違いの責任が決まっていないと、慎重な人ほど使いません。「AIが出したものなので」という言い方は通らない、と先にはっきりさせておくほうが、結果的に使われるようになります。

手順5:ClaudeCodeに手順として覚えさせる

ここまで決まって、ようやくツールの出番です。

ClaudeCodeでは、CLAUDE.md というファイルに会社のルールを書いておくと、作業を始めるたびに読み込まれます。手順3で書き出した値付けのルールは、ここに入れます。

さらに「Skill」という仕組みを使うと、見積書を作る一連の手順そのものをファイルとして保存し、社内で共有できます。

こうしておくと、**2回目以降は誰が指示を出しても同じ手順で進みます。**指示の出し方が上手い人と、そうでない人の差が出にくくなります。

手順6:1件だけ通して、差分を直す

いきなり全部を任せません。まず1件だけ作らせます。

そのうえで、ベテランが作るものと見比べます。違いが出たところが、ルールとして書き足りていない部分です。

  • 書いたつもりで、書いていなかった条件
  • 「当然そうする」と思っていて、言葉にしていなかった判断
  • 例外なのに、例外だと明記していなかった取引先

これを2〜3件くり返すと、ルールの精度が上がっていきます。この往復が、いちばん価値のある作業です。ここで足された文章は、そのまま次の担当者への引き継ぎ資料になります。

効果について、数字は出しません

この種の記事では、「作成時間が◯%削減」といった数字が出てくることが多いと思います。当社は書きません。

理由は単純で、業務量も体制も会社ごとに違うため、約束できないからです。見積が月に5件の会社と200件の会社では、同じ手順を踏んでも結果はまったく違います。他社の削減率は、御社の削減率ではありません。

数字の代わりに、確実に言えることを書きます。

  • 2回目以降、誰が指示を出しても同じ手順で進む
  • 金額の決め方が、人の頭の中ではなく文章として残る
  • 担当者が変わったときに、ゼロから教え直さなくてよい

時間の短縮は、この結果として付いてくるものだと考えています。

保存と社外提出の注意

2つだけ、注意点を書いておきます。

1つは保存です。見積書には保存に関する決まりがあり、電子データでやり取りしたものの扱いも定められています。要件は事業の形態によって変わりますので、**顧問税理士にご確認ください。**ここは自社の判断だけで決めないほうが安全です。

もう1つは、社外に出す前の確認です。AIが出した金額をそのまま送信する運用にはしないでください。手順4で決めた確認を、必ず通します。

まとめ

  1. 準備の大半は、ツールの設定ではなく社内のルールを決める作業
  2. いちばん重いのは値付けのルールを文章にすること。そしてここがいちばん効く
  3. 1件だけ通して差分を直す往復が、精度を上げる

手順1・2・4・5・6は、社内だけでも進められます。詰まるのは、たいてい手順3です。頭の中にあるものを言葉にする作業は、自分で書き出すより、外から質問される形のほうが早く進みます。

Black Bullの導入支援では、この値付けのルールを含めて「ClaudeCode構築仕様書」という形にまとめ、御社に残しています。何をどこまで書けばよいのか分からない、という段階でも構いませんので、お気軽にご相談ください。